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奥沢文庫

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2022年 04月 19日

京都・大原・三千院

少年の頃、TVから流れる「女ひとり」(作詞;永六輔、作曲いずみたく、1965年)
を聴きました。

♪ 京都 大原 三千院 恋に疲れた女が一人・・ 

何度か聴くうちに、この出だしが耳に残り、いつの間にか大原とは三千院のこと
だと思うようになりました。そして、それはつい最近まで。

ところが‥実はコレが大間違いだったのです。

大原に古くからあるお寺は三千院ではなく、図中の赤い卍印の3つのお寺です。
つまり、「勝林院」「来迎院」「往生極楽院」。この3つとその支院は、まとめ
て「大原寺(ダイゲンジ)」と呼ばれ、地名のオオハラはここに由来します。
京都・大原・三千院_f0091854_17483870.jpg

建は平安時代。中でも、参道の突き当たりの「勝林院」は、今は貧乏寺です
が、江戸末期までは有力寺院で、(BS番組によると)小さな土蔵は宝物で溢れて
います。


で、三千院は、と云えば、明治になり大原に割り込んできた新参者だったのです。

三千院は門跡院(皇族が住職を務める寺)ですから資力があり、その境内は、群
を抜いて広い。境内にある小さなお堂「往生極楽院」の「阿弥陀三尊像」は迫力
十分の国宝です。しかし「往生極楽院」はもともと独立した寺院だったところ、
三千院に乗っ取られ、併合の憂き目にあいました。

「三千院」はおそらく跡目争いに忙しかったのでしょう、平安時代からその屋号
と場所を何度も変えました。相続問題と度重なる引越しに疲れ、ようやく京都の
奥地に辿り着いたのかもしれません。

だとすれば、その様子はまるで「恋に疲れた女」ではありませんか!三千院の悲
哀がこの歌に重なり、今はこの歌をシミジミ聴いています。

大原には他に「寂光院」があります。斜面地に建つ小さな尼寺は手入れが行き届き、
まるで箱庭のよう。ここは建礼門院(壇之浦・安徳天皇の母)が余生を過ごした
ところ。

Discover Japanの頃、大原には若い女性が押しかけ、あそこはミーハー向け(と
いうと怒られる)の観光地と決めつけましたが、今は、鄙びた風景の中に、その
歴史の息づかいを(これまたシミジミ)感じている次第です。
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by motoki8787 | 2022-04-19 20:50 | 風景・街あるき | Comments(2)
Commented by E男 at 2022-04-21 23:32 x
あの歌はダークダックスだっけ?
いい歌だよなぁ。
この記事で思わぬ三千院の秘密を知りひとつ頭が良くなった気分。
Commented by motoki8787 at 2022-04-22 21:07
デュークエイセス。
1番から3番、それぞれで和服の着物の生地と帯を唄ってます。
知らなかった。


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