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奥沢文庫

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2017年 08月 30日

資生堂アートハウスへ

下り東海道新幹線が掛川駅を通過して1.4Km、左手60mほどに資生堂アートハウス
が建っている。時速300Kmだからたいていの人は見逃すが、運が良いと銀色のラス
タータイルが閃光のようにフラッシュする。

遅ればせながら、この名建築(1978年、設計・谷口吉生)を見てきた。

建物は「丸い部屋」と「四角い部屋」からなり、S字状に連続する柱が両者を牽
引する。まるで、幾何形態の綱引きを見るようだ。

「丸い部屋」には四角い空間が、「四角い部屋」には丸い空間が「入れ子」とな
り、この「反転関係」が両者の違いを強調する。「反転関係」は光の取り入れ方
にも見られる。丸い部屋には地を這う光が滑り込み、四角い部屋では中央に圧縮
された光が四方に拡散する。採光方法の違いにより、両者の対照がさらに際立つ。
谷口が云う「メビユスの輪に入ったような錯綜した空間」とはこの「反転関係」
のことだろう。

このように両者は反転、逆転関係にある幾何形態だが、一方、断面を切ると「天
井高さ」と「連窓の高さ」は統一されている。共通の高さが備わることで両者は
強く束ねられ、異なる2つが1組のまとまりに見えてくる。高さの規範が全体を
統合している点に注目すべき。

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そのようなところ、この建物にはレベルの異なる3つの床面があり、順路に従い
スロープを上り、または階段を下ると視点の高さは120センチ毎に変化する。
内部の景色が外の景色と共に豊かに変化し、目を奪われる。展示物鑑賞がおろそ
かになることは考えものだが、視点の上下移動という仕掛けはこの建物の画竜点睛
と考えたい。


隅々まで計画、配慮されていたが、決して過剰ではない。このような建物は訪れる
者を清々しい気分にさせてくれる。資生堂アートハウスはその名の通り美しく均整
がとれ、瑞々しかった。





by motoki8787 | 2017-08-30 10:56 | 建物雑記 | Comments(0)


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