2014年 12月 16日
久留米市の徳雲寺に納骨堂が建つ。1965年、菊竹清訓による設計。内部に外気が通り 抜け、簡素きわまりない小さな建物。にも関わらずその構造は土木的とも云え、大きな背骨 の上にヤジロベイのように天蓋が載る。目の前に長い壁が浮遊する様子に<誰もが目を奪 われる。 先日、湯島の展覧会でのこと。納骨堂の原図を眺めていると妙なことに気が付いた。 断面図には大きな逆梁(ぎゃくばり)が描かれ、逆梁だから、屋根の上に出っ張って いる。ところが、立面図をみると、どうやらその逆梁が通し断面ではなく(端から端 まで架かっているのではなく)、壁柱の近傍だけにあるようだ。 (図中、BEAMと書かれた部分) ネット上の写真を調べてみたが、どの写真もカメラの引きが浅いため、屋根上部の 逆梁が映っていない。ところが、つい先日、知人が撮った遠くからの写真に逆梁の 一部が映っていた。知人は見学が叶わなわず、やむを得ず遠くからシャッターを 切ったが、それが幸いした。写真を見ると、逆梁と壁の関係(競い合い)が良く わかる。なるほど、ダイナミックで土木的な構造も、実は丁寧にデザインされている。 ついでに、この際だから、とカタログ図面をスキャンし各部の詳細寸法を起こしてみた。こ うして、詳細を知れば知る程、これ以上、どこも削ることができないギリギリの美学が息づ き、瑞々しい。 菊竹清訓、37歳の仕事にいつものように溜め息が出た。(展覧会は来年1月いっぱい) , , , , , , , , , , , , , , , , , , , , , ,
by motoki8787
| 2014-12-16 22:25
| 建物雑記
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