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奥沢文庫

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2014年 09月 26日

ルネサンス建築・わしづかみ講座(その1)

<ルネサンスの扉をこじ開けたブルネレスキさん、オスペダーレ・デリ・イノチェンティ>

ルネサンス建築の幕開け1番手はフィレンツェのこの建物、ブルネレスキさん
設計のオスペダーレ・デリ・イノチェンティ(捨て子保育院、1421〜24)です。

細い柱がズラリと連続する回廊(アーケード)は今でこそ、どこでも見かけますが、
当時の人々にとっては拍子抜けする位にスカスカ、何かチョット物足りないカンジ
でした。空疎で希薄なデザインは、しかし、見ようによっては清々しい空気感に溢れ、
組積造建物が建ち並ぶ鈍重な街並に、ドカンと風穴を開けました。

ひときわ明るい景観が出現し、まさに夜明けが訪れました。
ルネサンス建築・わしづかみ講座(その1)_f0091854_0325092.jpg

ところで、なぜこんな軽やかなデザインが実現したのでしょう、ブルネレスキさんは
こう説明しました。
「正面からは見えないんじゃが、柱の上部をタイバー(鉄の棒)で後ろに引っ張って
いるのじゃ。全ての柱に付けたのじゃよ。
ナニナニ? 鉄の棒が露出してるのが気に食わんじゃと? いやいや、タイバーの
お蔭でこんだけ軽やかになるんじゃから、その立役者はむしろ見せるべきなのじゃ
よ。これからの時代、「構造アイディア」で味付けせんと新しい表現は生まれない
のじゃ。」

以後、このように、「狙った表現」を達成させるため、「構造アイディア」が
重要な助っ人になり、ここに、表現と構造の二人三脚が始まります。
構造のありようがそのまま表現だった時代が終わり、表現の自由度が解き放たれ
たのです。この建物が最初のルネサンス建築とされる理由が、ここにあります。

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by motoki8787 | 2014-09-26 00:37 | 連載 | Comments(0)


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