奥沢文庫

motoki8787.exblog.jp
ブログトップ
2012年 05月 26日

「私の宝物」( INAX REPORT No.187 )

実は、私にも「宝物」があります 。

INAX REPORT (No187)の連載企画「モダニズムの軌跡」で鈴木恂の特集が
組まれましたが、その1頁に「私の宝物」というコラムを書きました。与えられた
テーマは「師としての鈴木恂」。当時のアトリエでのエピソードを交えながら...、
が編集者からのリクエストでした。

大学卒業後、南欧、北アフリカ放浪の旅を経て、鈴木恂先生のアトリエで6年間、
所謂、丁稚の時代を過ごしました。右も左も分からない時期に、閉じた環境で
密度の濃い時間を過ごせたことは、今にして思えば得難い経験でした。禅寺の
修行などに少し似ていたのかもしれません。

「私の宝物」とは、恂先生が都市住宅(1977年10月号)に発表した「ランダム
プロセス」のこと。建築設計を行なう際の方法論です。その文は先生ならでは
の想像力に富む言葉に溢れていますが、アトリエの部外者が理解するには一寸
難解な内容でした。それが証拠に、未だこの「ランダムプロセス」について誰も
(どの評論家も)触れていません。否、一寸手強くて書けなかった。
f0091854_22125346.jpg
f0091854_13151948.jpg

一方、アトリエ在籍の我々スタッフは、朝から晩までこの「ランダムプロセス」を
舵取り役に、スッタモンダ格闘の日々でした。そこで、コラムを書くにあたり、当
時のアトリエでの作業を引きながら「ランダムプロセス」を分かり易く説くことを
思い付いたわけです。臨場感溢れる解説になるとすれば、これは絶好の機会!
と考えました。

勿論、自身のために整理しておきたい気持ちもありました。

独立後、今に到るまで私の「座右の方法論」ですから、タイトルは迷う事なく
「私の宝物」としました。なお、そのうち「ランダムプロセス」の全文を英訳しよ
うと思います。辞書を必要としない、うんと平易な英文になれば、しめたもの!
です。


(以下は本文からの抜粋)
この「ランダムプロセス」は、只でさえ混沌とする設計作業を5つの視点で整理した
ものと云えますが、同時に発見的手法がちりばめられた宝の山でもあります。
「ランダムプロセス」は文字通り順番にとらわれず、時には反復し実施される過程
であり、決してカタチとして表出することはありませんが、建築の質を底支えします。
そこでは、夥しい数のイメージ、思惟が鎮められ、抽象化、整理、統合などを経て、
最後は建築に幾重もの層をなして浸透していきます

.
.
.
.
.
.
.
.
.
.
.
.
.

by motoki8787 | 2012-05-26 13:28 | お仕事 | Comments(0)


<< 恵比寿で「回転 鯖ん魚」(かい...      「屋根のカタチ」と「居住まい」... >>