奥沢文庫

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2012年 01月 19日

群鶏図(伊藤若冲)の秘密

伊藤若冲の「群鶏図」は、13羽の鶏が幅70センチ、奥行き約2.5mの範囲
に、実は案外、ゆとりを持って並んでいる。下の絵は実際の「群鶏図」をCG化
し、仮にこの絵を上から俯瞰した場合、どう見えるか?として作成されたもの。
等間隔に立っていないところが興味深い。床の1マスは10センチ角。
f0091854_23361126.jpg

 この状態を、先頭の鶏から50センチ離れ、目線よりやや高い位置から
眺めたものが次の図。当然のように鶏の顔は手前より奥の方が小さく、
これはごく自然な透視図。35ミリ標準レンズで撮影した写真だと見ればよい。
f0091854_23365588.jpg

この絵でも迫力十分だが、なんと若冲は被写体から思い切って約4m
離れ、200ミリ望遠レンズで鶏達を切り取り、これを「群鶏図」とした。(下図)
その結果、非常に奥行きの浅い空間に13羽がひしめく効果が生まれた。
紛れもなく望遠効果であり、これが「群鶏図」の秘密である。
f0091854_22273454.jpg

13羽すべてが晴れ晴れしくも主役になり、皆が主役だから鶏の赤顔は全て
同じ大きさ。その結果、見る人の視線は1点にとどまらず、羽毛の間をくぐり抜け
ながら赤ら顔を忙しく移動し、やがて彼らの賑やかな鳴き声さえ聞こえてくる。

奥行きのない、しかも平滑で、たぶん硬質な画面を視線は留まることなく滑り
つづけ、気がつけば見る人は、若冲の術中に落ちている。

それにしても、望遠効果による絵を描くとは、なんという企てだろう。若冲には、遠めがね
(望遠鏡)を手にする機会が、きっとあった、と考えたい。

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by motoki8787 | 2012-01-19 23:54 | デザイン | Comments(0)


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