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奥沢文庫

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2010年 06月 04日

ある都市住宅1 (鈴木恂のNAH)

その住宅は、やはり小さかった。よい建築は想像より、きまっていつも小さい。
鈴木恂によるこの都市住宅は築45年、呼称NAH、現在はワイン輸入商社(Odex )
が所有しオフィスとして利用している。

先日、ここで恂研究室のOB会があった。

NAHは昨年お化粧直しを終え、竣工当時の姿に復帰していた。Odexは高輪
の丘に埋もれていたダイヤモンドを掘り当て磨き上げた。

道路に張り出す巨大な出窓、その挑発的とも云える姿は写真ではお馴染みだ
ったが、その近寄り難い気配に、これまで実は距離を置いていた。

ところがその瑞々しさを目の前に「こんな住宅だったのか!!」と腑に落ち視界が
晴れ、メッセージがヒシヒシと伝わってきた。そのテーマを時代遅れと云うは易
いが、忘れてはならない建築の初源を喚起し眩しいほどに輝いていた。

瑞々しかった。

「ガツンと一撃」、集まった皆は一様に驚いた。
ある都市住宅1 (鈴木恂のNAH)_f0091854_22482378.jpg

(向かって)左側から跳ね出された木造壁は90度に折り返され、コンクリートの壁
とガップリ四つに組みあう。出窓下にある横長の裂け目(開口部)がその激しさを
物語っているが、「貫入」ではない。「相貫」でもなく、「嵌合」でもない。一体なん
と形容すればよいのだろう。
(NAHの顔を見事に切り取った撮影は青山修也さん。隣は海口平太郎さん)



by motoki8787 | 2010-06-04 20:55 | 建物雑記 | Comments(1)
Commented by ツユキ ニコラス at 2010-06-30 12:59 x
よい建築は実物を見るとやっぱり想像より小さい・・は、本当ですね。
カーンのフィリップスアカデミーの図書館を見た時も、丹下先生の今治体育館の時も・・やはり、そう思いました。恂先生のNAHは竣工当時の新建築を持っています。小職も実物にふれたいなあ~


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