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奥沢文庫

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2019年 04月 14日

「東寺・立体曼荼羅」鑑賞の手引き

東寺展@上野コクハクへ行きました。目玉は「立体曼荼羅」の仏像たち。
京都・東寺の講堂21体の仏像の内、17体(内、11体が国宝))が上野へやってき
ました。廃仏毀釈を思い出すと、これらの仏像、よくぞ残りました。東寺が天皇
家、当時の国家権力と仲良しだったからに違いありません。

会場では煌々と明るい照明の元、仏像たちが十分な間隔で配列され、伸び伸びと
羽根を広げています。しかし実際のところ、京都では仏像たちは窮屈にひしめい
ています。その上、中は暗く、目を凝らさないと仏像たちは黒々とした塊にしか
見えず、要するによく分からない。期待を裏切られ、ガッカリした知人が何人も。

そのようなことから、今回の仏像たちは全く別物に見え、「こんなに美しいもの
だったのか」とようやく腑に落ちました。

ところが、ちょっと気になることがひとつ。

それは、「目の前の仏像たちが、京都ではどのように配列されているのか?」を
容易に知る手立てがなかったこと。もちろん、京都での配列図はありましたから、
図中の仏像名を頼りに会場を探せば良いのですが、それでは日が暮れてしまいま
す。
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そこで、「これはアカン!」と、急遽「立体曼荼羅・鑑賞の手引き」を作ったわ
けです。どうでしょう、色分けするとよく分かりますね!上野と京都の関係が。

観客は、実にこういうことが知りたいのです。これがあれば、観客は上野に居な
がらにして京都・東寺の空間へ飛ぶことができますからね。勿論、仏像たちと一
緒です!

ということで、これは、コクハク館長さんへ提言してみます。

唯一、撮影が許されていた帝釈天像の周りには二重三重に人垣ができていました。
皆さん、顔の前に携帯を掲げ、その様子はまるで新しい祈りのカタチのようでし
た。

ところで、印象的だったことは、仏像の前で合掌している人が皆無だったこと。
日本人は、昔から(今でも)神仏を前に、あんがい簡単に合掌しますから、これ
は意外でした。

仏像たちの美しさを前に鑑賞モードにスイッチが入り、手を合わせることを忘れ
てしまったのでしょうか。それとも京都でのお務め(立体曼荼羅)から解放され
た仏像たち、ホトケパワーを失い、単なる彫刻に戻ってしまったからでしょうか。

「気付いたら合掌していました。」というような展示、会場構成があるような気
がします。機会があればトライしてみましょう。



# by motoki8787 | 2019-04-14 13:50 | 見た・観た・聴いた | Comments(0)
2019年 02月 20日

巻柿「矢部牡丹」

干し柿を材料とする巻柿は各地に散見されるが、なかでも、この「矢部牡丹」

はズシリと重く250g、ゴロンと大きく、いかにも王様らしい。切り口が

牡丹の花のように見えることからこの名が付いた。


「矢部牡丹」は熊本県(上益城郡矢部町)にある8軒の農家で昔ながらの

製法により作られる。

その手順は

①皮を剥いた柿を四昼夜かけ練炭で乾燥させ、

②二十日間天日干しにし、さらに

③藁の中で一週間寝かせ、

④種を取り除き

1213個ずつを乾燥した真竹の皮で包み、

⑥藁で包み、

⑦左右から藁縄でぐるぐる巻きにする。


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藁縄には「実とらずの稲わら」(米が実る前に刈り取られたもの)が混じり

青々しく、清々しい。だから、お正月の縁起物としても通用する。


毎年、11月下旬から出荷が始まり、12月下旬(年によっては1月中旬)まで

店頭に並ぶ。今年度は1700本程度が製造されたらしいが、その数は年々減っ

ている。発売元はAコープ矢部(JAかみましき)取寄せ可能、1,500/個(税込)


巻柿は他に、徳島県脇町の細川巻柿製造本舗、岡山県倉敷市の山柿庵、大分県

中津市の溪月堂のものがよく知られる。



# by motoki8787 | 2019-02-20 13:28 | 食べた・飲んだ | Comments(2)
2018年 12月 17日

一条ゆかり「有閑倶楽部」

平凡社から一条ゆかり「有閑倶楽部」を旅する(太陽の地図帖)が出版。

「有閑倶楽部」は一条ゆかりの代表作の1つ、1981年「りぼん」(集英社)で連
載が開始された。この本は、「有閑倶楽部」を解き明かす虎の巻。

当初、アトリエを実測予定でしたが、急遽、LDKに変更。アトリエも拝見しました
が、LDKを取り上げたことは読者にとって大正解。

LDKの内部空間に住み手の「したたかさ」を感じました。
具体を云えば、
 ① 半階ずらしの構成
 ② 外部に対し、閉じつつ開く手法
 ③ 採光を補完する半外部空間
これらは、いずれも狭小敷地の都市住宅に有効な手法。外観との整合性に?がある
ものの、それでも一条の「こうしたい!」が実現し、おそらく本人の満足度は高い。

そう!作家は家づくりにも「したたか」だった。

実測図に一条作品のキャラクターをチャッカリ拝借、絵が生き生きと。このような、
住み手のアイコンを取り入れる方法に、今後の可能性を感じました。これを手掛かり
に、新しい実測図のあり方を探ります。
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一条のことは勿論、知りませんでした、少女漫画家ですから‥
「有閑倶楽部」と一条の作品を示す断片は、以下の通り(本誌から抜粋)

  有閑倶楽部は
     コメディタッチの漫画
     とにかくゴージャス
     奇想天外な物語
     雑多に文化を散りばめた作品
     文化資本をさずけてくれた

  一条ゆかりの漫画は、
     容赦ない大人の漫画
     子供騙しが一切ない
     読者に大人の世界の心構えを促す
     ページをめくりさえすれば未来を思うことができた

編集は飯倉文子+佐藤暁子+小出真由子
(編集人 日下部行洋)


# by motoki8787 | 2018-12-17 23:01 | お仕事 | Comments(1)
2018年 12月 12日

コロナブックス「谷口ジロー 描くよろこび」

平凡社からコロナブックス「谷口ジロー 描くよころび」が出版。

谷口ジローの仕事場を実測・作図しました。仕事場は何の変哲もない、普通のマ
ンションの一部屋。作品空間を徹底的に描き込んだ谷口でしたが、自身の仕事場
を飾り立てることには無頓着でした。

漫画家の仕事場の実測・作図は2度目でしたが、谷口の画力に啓発され、デスク
周りの詳細図を加えることに。また、谷口がスクリントーン使いの名手であるこ
とを知り、敬意と哀悼の意を込め真似させて頂きました。が、これは上手くいかず、
鉛筆で陰影をつけることに。そして、Gペンに初挑戦。線の太さに強弱がつき、
絵に立体感が生まれました。これら初めての試みを理解していただいた編集者に
は感謝です。
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電車で漫画を読む人を観察していつも気になっていたことは、そのスピード感。
視線は誌面を滑り、飛ぶように早く、物凄い速さでメージがめくられる。何故あ
あも荒い読み方か?雑な読み方か?

ところが、谷口の作品にこの読み方は通用しない。

谷口の作品世界は、読むほどに調べるほどに新鮮だ。なかでも、谷口が若い頃から
影響を受けていたBD(バンドデシネ)(※注)は、荒い読み方とは無縁の表現様式。
こんな漫画世界があることを初めて知りました。

編集は小出真由子+佐藤暁子(平凡社・コロナブックス編集部)

(※注)BD(バンドデシネ) bande dessinée 仏語
フランス語圏での漫画を示す総称。カラーで描かれ大判サイズで出版されること
が多く、ハードカバーのことも。「9番目の芸術」として批評や研究の対象となっ
ている。



# by motoki8787 | 2018-12-12 19:57 | お仕事 | Comments(0)
2018年 12月 09日

「三番町 共用会議所」へ

「共用会議所」なる聞き慣れない名称。ここは各省庁が文字通り「共用」して
用する会議室らしい。室内の設えからすると上級職が利用する。大江宏(当
時41歳)の設計により1954年、千代田区三番町に竣工。

この建物は、日本には珍しく優れた「回廊建築」と云える。回廊は諸室をL型に
囲み、(設えは高級だが)元来がつまらないお役所施設に命を吹き込んだ。発注
者は、質素だが華やかな建築を思いがけず手に入れた。
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回廊の柱の直径は僅か250φ。普段、見ることのない寸法に思わずため息。この細
さで足りるのは、床版が(堅牢な)本体に拘束されているから、そして鉛直荷重
だけを負担するから。柱にひび割れや補修跡が皆無だから、現在の構造設計基準
でも成立すると考えたい。

その柱の割付は均等ではない。スパンに長短があり、その比率は1対2、この回
廊の最大の魅力の1つと云える。このような柱の扱いは日本建築に見当たらず、
大江は恐らくミケランジェロ、パラディオなどルネサンス後期~マニエリスム期
の建築から啓示を受けたのだろう。

回廊天井の木毛セメント板は肌色に塗装されている。外部の天井だから断熱材は
必要なく、ここでは意匠目的で利用されている。予算の無いところ、「天井打ち
込み」というルーチンで安価な工法のお陰で、冷たいコンクリート仕上げの中に
暖かく柔らかいテクステュアが出現した。
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床はテラゾーで仕上げられ、桜色の桝形パターンが繰り返される。一方、天井の
木毛セメント板はコンクリートで縁取られ、櫛形パターンを繰り返す。このよう
な平面パターンによるグラフィカルなデザインは、構成要素の少ない建築ではひ
ときわ目を引き、空間構造を力強く飾り立てる。このことはモダニズム建築の特
徴の1つと言える。

空調設備の後補は別として、意匠がこれほど新築時と変わらないことは珍しい。
築60年を超えると改変により満身創痍である筈のところ、このことは奇跡に近い。
完成したものを再考することに不得手なお役所仕事が、ここでは幸いした。











# by motoki8787 | 2018-12-09 19:06 | 見た・観た・聴いた | Comments(0)